■円について
立体図(テクニカルイラスト)は物体を斜めから見た図なので、円形は楕円になります。
立体図(テクニカルイラスト)で使用する楕円は、細く長かったりする楕円ではなく、正楕円です。
正楕円の定義は曖昧なようですが、ここでは正円を上下から同じ割合でつぶした楕円ととらえてください。
円形を平らな台の上に置き、それを眺めるとします。
台となす角度が0°であれば直線に、真上(90°)から見れば正円になります。
35°から見た楕円を35°楕円、60°から見た楕円を60°楕円といい、この角度を”楕円度”といいます。
等測投影法では、35°16’の楕円を主に使用します。
これは等測面上の円は全て35°16’の楕円になるからです。
難しい理論は割愛しますが、右の図のように立方体の各面に内接する楕円は、全ての面で同じ大きさの35°16’の楕円になります。
通常は35°16’楕円とは呼ばずに35°楕円と呼びます。
■楕円の各部の名称
楕円の一番長い直径を”長軸”、一番短い直径を”短軸”と呼びます。
そして、この二本の軸は直交します。
また、長軸を±30°回転させた軸の事を”斜軸”と呼びます。
下図は、1辺が30mmの立方体です。
その立方体の各面に35°楕円を内接させます。
この内接楕円の斜軸が立方体の各辺と同じ長さになるのがわかると思います。
そして、この楕円を斜軸30mmの35°楕円と言います。
■楕円の整列
この内接する楕円の方向(短軸が各面の法線方向(等測軸方向)を向く)が、それぞれの面に対する楕円の正しい向きと言うことです。
これを”楕円の整列”と言います。
これは楕円が小さくても大きくても同様です。
Illustratorでは斜軸で楕円は描けません。
従いまして、35°16’の楕円を描くには長軸と短軸の長さが必要となります。
35°16’楕円の長軸と短軸の関係は、以下の通りです。
従いまして、長軸10mmの35°楕円は、短軸が5.8mmとなります。
楕円の斜軸も右図のようにX、つまり実長10mmに対して8.16mmとなり、81.6%に短くなります。
等測図では、実際は81.6%にしなければならなかった長さ寸法を100%で描いてきましたので、楕円も拡大して1/0.816の倍率で描かないと理屈に合いません。
従いまして、長軸10mmの35°16’楕円は、1/0.816≒1.22倍して描くことになります。
ちなみに球体も同様に、1.22倍することになりますので注意が必要です。
Adobe Illustratorでは、通常、長軸1mmか10mmの35°16’楕円を作っておいて、必要に応じて拡大/縮小させて描くという作業になります。
なお、Adobe Illustratorではこの方法で楕円を作るとZ面上の楕円となります。
これを、120°回転させればX面上の楕円の方向になり、再度120°回転させるとY面上の楕円になります。
次回の課題から、この楕円も含めたものとなります。
では。