テクニカルイラストレーション(アイソメ図)の基礎
今回は、テクニカルイラストレーションの基礎です。
一般的にテクニカルイラストレーションと言いますが、図法的には等測投影法(アイソメトリック投影法)という図法に分類されます。
上図で、正投影法の中に第三角法というのがあります。下図がその例です。
これは日本における製作図面(機械製図)でよく使われる図法です。
例では正面図・平面図(上面図)・側面図(右側面図)の3図で1つの形状を表しています。
ちなみに特許関係の意匠図は六面図(正面・平面・背面・右側面・左側面・底面)で表します
斜投影法は以下の様な図です。
正面図は実形で描きます。その後、右上方向に任意の角度で奥行を描く描き方です。
しかしよく考えてみると、例えばサイコロで正面を真っすぐ見た場合に奥行は見えませんよね。そうです、無理やりの描き方ですが、特許図面などではよく見る描き方です。
テクニカルイラストレーションを学ぶのであれば、やはり軸測投影法を使って描きたいものです。
軸測投影法には以下の3種類があります。
立方体を考えると、等側投影図は見えている3面は全て同じ面積となります。
二等側投影図は2面が同じ面積で、不等測投影図は全ての面の面積が異なる描き方です。
表現したい形状によって描き分けるのが良いのですが、特にこだわりが無ければ描くのが比較的簡単な等側投影図で描くのが良いと思います。
等側投影図は以下の様に考えます。
立方体の三面図を考えます。その平面図を左回転で45°回転させると上図の右側の図のようになります。
次に、側面図の後側を35°16′(35度16分と読みます)持ち上げて傾けます。
すると下図の正面図の様な等測投影図となります。
一辺10mmの立方体で考えると、35°16′後側を持ち上げると正面図で左右の角度は30°となります。
実際に10mmの長さはA'-O’になります。しかし図のように傾けるためのA-O(X)は10mmより縮まる事になります。
1分は1度の60分の1(1分=1/60°)で、16分=16/60°=0.26666....°ですので、35°16’=35.2666....°となります。
X=10mm(A'-O’)×cos35.2667°(三角関数表で0.81647329...°)≒8.16mm(A-O)
つまり10mmだったA'-O’は傾けることによりA-Oは8.16mmという事になります。
等測投影図(アイソメトリック投影図)を描くために、図面上の数値をいちいち0.82倍することになります。
これは非常に面倒ですね。実は手書きの頃にはアイソメトリックスケールという物差しがあり、これで10mmの線を描くと8.2mmになるよう、最初からメモリが82%になっている物があったので面倒ではなかったのです。
パソコンになった時点で物差しを使用しなくなったためこの面倒さが発生してしまったのです。
そこで82%を100%に変換するため以下の式を使用します。
1÷0.816473...=1.22477...倍≒1.22倍
このように考えるのが等測図(アイソメトリック図)です。
つまり図面上で10mmの長さは10mmで描きます。後々出てくる楕円や球(円)は1.22倍して描きますが、今はその話は置いておきます。
とりあえずこれから描く図は等測図(アイソメトリック図)であり、図面上の数値はそのままの寸法で良いと覚えてください。
次に、等測図の軸と面についてです。
左図の3本の軸線の方向を、右からX軸方向、Z軸方向、Y軸方向と言い、等測軸と呼びます。
等測軸は空間のどの位置にあっても有効です。
そして、「三面図で平行な線は立体図でも平行に描く」というのが重要なルールの1つです。
従いまして、右上がりの線は30°方向に、上向きの線は90°方向に、左上がりの線は150°方向に描く事になります。
これは、先程のIllustratorの設定時に出てきた角度です。
この図は重要ですので是非覚えてください。
以降、直線のみで表される図形を描いていきたいと思います。
では。